口腔外科
口腔外科について説明いたします。特に顎関節症、親知らずの抜歯についても、詳しく説明いたします。
親知らずの抜歯が上手な歯科医院選び
患者さまが抜歯をしてもらう判断として、まずは、歯科医院の診療科目の中に歯科口腔外科が標榜されているかで判断すると思いますが、実のところ診療科目の標榜は専門医では無くても掲げられるのが実情です。
特に口腔外科は専門性が高いため、標榜だけで判断することは注意が必要です。
また、抜歯が上手な歯科医を判断する基準として、患者さまは、痛くない・早く抜ける・腫れないなどを挙げられると思いますが、確かにこの基準は一番の大きな要素だと思います。
しかし、それは抜歯手術の難易度によって大きく変わります。
そのため、当院では、術前にレントゲン等を使用して抜く歯や周囲の組織の状態・抜歯手術の方法を、また、リスクとして術後に起こりうる症状を説明した上で、患者さまに理解していただき、同意を得た場合のみ手術を行っております。
あくまでも抜歯は、手術であると言うことを理解していただきたいと思います。
親知らずとは?
基本的に永久歯は、上下14本ずつ、計28本が口腔内に萌えていて、その後ろにある真ん中の歯から数えて8番目の歯のことを親知らずと言います。親知らずとは俗名で「親元を離れてから萌えてくる歯だから」と言われています。歯科関係者の間では、「智歯」・「第三大臼歯」または、「8番」と呼んでいます。
はやい方で17歳頃から萌えてきますが、退化傾向が著しい歯ですので、歯胚(歯の芽)そのものがなくて先天的に萌えてこない場合もあります。最近、日本人の食生活のスタイルも変わり、加工食品など柔らかい物を食べているため顎の発育が悪く、それに伴い顔や顎も小さくなったため、正常に萌えるスペースがなく一部分だけ歯が出ている場合や、横を向いていたり完全に埋まっていたりする親知らずがほとんどです。
親知らずの有無は、レントゲンで確認することをお勧めします。
親知らずの痛みの原因
親知らずの痛みには以下の原因が考えられます
○ 親知らずの歯と歯肉(歯ぐき)の境に汚れが入り、炎症をおこしたため
○ 親知らずが虫歯で神経まで到達して、炎症をおこしているため
○ 萌えてきた親知らずが、対合側の歯肉に噛むたびにぶつかり、傷や潰瘍が出来たため
○ 親知らずが正常な位置に萌えず、かみ合わせが悪い場合、下顎の動きが異常をきたすため、顎がガクガクしたり、開口時、痛みや音がしたり、 急に口が開かなくなることもあります。(いわゆる顎関節症)
親知らずの症状
親知らずの症状として、体が疲れているなど、抵抗力が落ちている時に腫れやすく、一度腫れると、時間をおいて再度繰り返し腫れることが多く、腫れるサイクルが短くなることがあります。
また、周りの歯肉が腫れて血膿が出たりします。さらに、進行すると、顔が腫れて口が開けづらくなりまた、物を飲み込みづらくなったり(嚥下痛)発熱・倦怠感が出たりします。
これらが一般的な親知らずの症状として一番多いものです。
親知らず抜歯の判断
口腔内の状態によって変わるので一概には言えませんが、以下の場合、抜歯の判断基準と考えられます。
1.何度も腫れや痛みを繰り返してその間隔が短くなっている場合
2.虫歯が神経まで到達している場合
3.はえてきた親知らずが、対合側の歯肉に噛むたびにぶつかり、傷や潰瘍が出来ている場合
4.虫歯があり、歯が捻転しており虫歯の治療が困難な場合(特に上顎親知らず)
顎関節症とは
顎関節症の原因
顎関節症は様々な要因が重なって起こります。
かみ合わせ の問題、歯ぎしり、悪習癖(かみ癖や食いしばり)、ストレス などによって過度な負担があごにかかると、それらが重なり合って発症すると考えられています。
顎関節症の分類
顎関節症は、その症状によって分類され、それぞれ治療法が異なります。
基本的には、下へ行くほど重症です。
Ⅰ型 咬筋や側頭筋などの咀嚼筋の疼痛・痛みを主徴候とするものです。
主に咀嚼筋(かむときに使う筋肉)に痛みが生じます。
また、口をあける筋肉の、あごの後ろにある「顎二腹筋」や、首のまわりの筋肉が痛むこともあります。
Ⅱ型 関節包・靭帯障害を主徴候とするものです。
顎関節周辺に大きな負荷がかかって、炎症が生じ、痛みが出てきた状態です。
Ⅲ型関節円盤の障害を主徴候とするものです。
口を開閉すると「コキコキ」と音がしたり、口を開けにくくなったりします。
ⅢC-型
咬頭嵌合位で関節円板前方転移なし
ⅢC+型
咬頭嵌合位で関節炎板前方転移あり+雑音症状
ⅢL型
咬頭嵌合位で関節炎板前方転移あり+クローズド・ロック
Ⅳ型 顎関節の変形を主徴候とするものです。
下顎の骨の上部が削り取られたり、出っ張ったりし(下顎頭の変形)、口を開閉すると 「ギリギリ」と音 がしたり、炎症による痛みが生じたりします。
臨床的には関節痛、開口障害、関節雑音のいずれかが見られ、確定診断は画像検査による顎関節の骨の器質的変化の確認をもって行ないます。
顎関節症の治療
Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型 まず生活習慣改善法・整体法にて、治療を行います。これは、歯を削ったりせず、症状の改善を目指す方法です。 痛みに対しては、薬物療法を利用して抑える事が可能です。 それと場合によっては、並行してスプリントによる治療をおこないます。
Ⅳ型当院では、顎の関節を撮影できるレントゲンがございます。 このレントゲンにより画像診断を行って、重度の外科処置が必要な場合には、大学病院へ紹介いたします。