丸山歯科医院ブログ
丸山歯科医院は初診時に丁寧にお話を伺い、検査・診断した上で治療を開始致します。
お口の中だけではない!歯周病と肺炎の関係
歯周病は歯周病菌によって引き起こされるお口の中の感染症。歯茎や歯を支える骨に炎症が起こり最終的には歯が抜けてしまう病気です。
最近の研究ではこの歯周病が全身の健康状態に影響を与えるということがわかってきました。歯周病が原因となっている全身疾患の一つに肺炎があげられます。歯周病が口の中だけではなく肺炎につながっているとは、驚きですね。どうして歯周病が肺炎になってしまうのかをご紹介します。
歯周病と全身疾患にはどのようなつながりがあるの?
お口の中の健康と全身の健康状態との関係は1990年代半ばから研究されてきました。歯周病にかかっていると歯周病菌が歯や歯茎周辺に住み着いています。この歯周病菌は歯茎に炎症を起こし、歯と歯茎の間の歯周ポケットを形成していきます。歯周病菌は口の中にとどまらず、気管や血管に入り込んだり、歯周ポケットの奥深くから体の中に侵入していき、他の病気の原因となると考えられています。
また、歯周病の炎症を起こしている部分で作られる物質が血液中に流れ込み、唾液や呼吸で体内に入り込むとさまざまな全身疾患を引き起こすことがわかってきています。その物質は血液に入り込むと血栓ができやすくなり、それにより心疾患の原因となりますし、呼吸器に入り込むと肺炎の原因となります。また糖尿病を悪化させたり、早産の原因になったりします。
歯周病が引き起こす誤嚥性肺炎とは?
歯周病菌が呼吸器に入り込むと肺炎を引き起こす可能性があります。肺炎の中でも歯周病が原因となっているのは誤嚥性肺炎(嚥下性肺炎とも言われる)です。この肺炎は気管などの呼吸器に細菌が入り込んで感染することによって起こります。ではどうして気管や肺に細菌が入り込んでしまうのでしょうか。
普段、私たちが食事をする時には食べたものや唾液が呼吸器に入らないように気管の入り口が閉じられるようになっています。しかし、高齢になるとこの反射的に気管を閉じる機能が衰えるため、食べたものや唾液が誤って気管の方へ入りやすくなってしまいます。これが誤嚥です。この時に歯周病菌などの細菌も呼吸器に入り込んでしまい、免疫力が低下していると肺炎を発症してしまうことになります。この誤嚥は睡眠中など知らないうちに起こることもあり、食事では誤嚥をしない人も注意が必要です。
肺炎は日本人の死亡原因の第4位となっています。特に高齢者にとっては死に至る危険のある怖い病気です。歯周病が原因となっているとすれば、歯周病を予防することが肺炎の予防につながります。
歯周病が原因の肺炎を予防する口腔ケア
歯周病菌が誤嚥により肺や気管に入り込むことで起こる誤嚥性肺炎は歯周病菌がお口の中になければ起こりません。高齢になると飲みこむ力が衰え、喉の反射機能が低下してしまうため、どうしても誤嚥しやすくなってしまいます。誤嚥を防ぐことはできませんが、歯周病を予防すれば誤嚥性肺炎の予防につながります。
私たちは日常生活で話したり食べたりすることでお口の周りの筋肉を使っているので、適切に唾液が分泌され口腔内が洗い流され、歯磨きを行っていれば歯周病を予防することができます。しかし、高齢になると唾液の分泌が減少し、口腔内の自浄作用が低下してしまいます。特に寝たきりの高齢者や自分で歯磨きをすることができないような全身状態の方は口腔内の自浄作用が低下している上に、歯磨きも十分に行えないと歯周病が悪化してしまいます。しかも入れ歯もつけっぱなしにしていたりすると口腔内の汚れはかなりひどくなっています。
まず、残っている歯は毎食後ブラッシングを行い、入れ歯は定期的に専用の洗浄剤を使用してきれいにします。その他にデンタルフロスや舌ブラシなども使い、口腔内の汚れをしっかり除去していくことが大切です。特に入れ歯の汚れは水洗いだけでは落ちないので、専用のブラシや洗浄剤を使いましょう。時には歯科医院で専門的なクリーニングをしてもらうとより効果があります。
まとめ
歯周病はお口の中の病気だけではなく、全身疾患も引き起こす恐ろしい病気です。成人の約80%の人が歯周病にかかっていると言われているので、毎日の歯磨きを徹底し、歯周病を予防していきましょう。
投稿日:2016年11月18日 カテゴリー:歯周病